無痛じゃない

私の行っていた病院では無痛分娩というものを行なっておりました。私は痛いのとか、辛いのとかが怖いので、麻酔が使えるならそっちのほうがいいや、と思って無痛分娩を希望、しっかり麻酔を入れてもらいました。
産む日は早朝から準備が始まりました。お産の状態にからだをするために、陣痛誘発の錠剤を飲んで、さらに腕からの点滴で入れて、麻酔は背中からチューブで入れて、お腹には子どもの心拍を見るベルトが巻かれるという重装備。
十分に産める状態になってから、手術室に入るため、午後3時までは陣痛室と呼ばれるところにいました。ああここで、何人もの人が苦しんでるんだ…と思うとなんというか怖い部屋だなと思いました。麻酔が効いていたこともあり、午前中はまったく痛くもかゆくもなく、最初のうちは旦那さんに「麻酔ってどうして効くのかいまだにわからないらしいよ」などという豆知識をしゃべるほどでしたが、お昼を食べ終わってからいよいよ痛くなり、「無痛じゃないじゃん」と少しだまされた気分になりました。これまでの人生で一番痛かった思い出は今年の2月にかかった腎結石です。それを超えないまでも、それに次ぐぐらいには痛かったです。
「部分部分で痛いところが残っちゃったりするんだよね」と先生は悠長なことを言い、助産士さんは「この状態だと普通はしゃべれないのよ、麻酔が効いているのよ」と言います。みなさん、お産に慣れています。その慣れっぷりが頼りになることもあれば、こうして首を絞めることもあります。
ところが、手術室に入ったらとたんに痛みが引いて、なんと先生が来るまでの数分間眠っていました。そして30分後には誕生。この時間は、確かに麻酔が効いていて、しかも安産だなと自分でも思いました。
助産士さんにも「すっごく安産だった」とか「早いし、穏やかだし良かったね」と何度も何度も言われました。まあもっと痛いのかもしれないし、やっぱり麻酔がきいていたのかな、と思い「途中まで痛かったから半額にしてください」と言うのはやめました。
次も無痛で産んでも良いかもしれないと思っています。もちろん、次があればのことになりますが。ね。